この記事を書いた人
名前 ayami
フェイスブック https://www.facebook.com/farmroots/
ウェブサイト http://livedoor.blogcms.jp/blog/farmroots/
2012年に横浜から恵那市へUターンしてきたおへそ仲間です。 登山や自然に関することと、お絵かきがすきな20代後半女子です。 2014年に1児の母になりました♪ FarmRootsという農家2年目でもあります。
2015/12/17
【新しいコラムのスタートです!一緒に郷土文化をほじくろう。】
こんにちは。おへマガ編集長が最近どうやら郷土の文化に興味があるらしいのです。
お正月が近くなってくると、いやおうなしに思い出される和式の儀礼の数々。
たとえばもちつき、たとえば初詣、おめでたい季節は伝統的ない儀礼も増えるものですね。
しかし!その文化を担ってきた生字引の方々が、どんどんこの世を去っているというのも事実。
そんなわけで急がねば!と立ち上げたこのコンテンツ「郷土」。
この地方に伝わる郷土の文化を調べたりご年配の方々に教わりながら、みなさんにシェアするコラムですよ♪
私たちも知らないことがいっぱいなので、一緒に楽しみながら勉強してみませんか?
【鳥と人間の尊敬しあう時代があったとは、ファンタジーなのか、それとも・・・】
「鳥屋」「かすみ網」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/birdbanding/restruc/0403.html
昭和20年代まで、中部地方、主にここ東濃地方でさかんに行われていた、渡り鳥を網にかける猟の方法の一つをかすみ網といいます。渡り鳥の飛んでいく山の稜線のくぼみに、鳥屋(小屋)を作り、そこにかすみ網を仕掛けるのです。
今ではこのかすみ網猟は一部の特区を除き、全面的に禁止されています。
昔の人は作物の獲れない冬の時期、貴重なタンパク源として渡り鳥を食べていたと言われています。
また冬の間の仕事として、より渡り鳥の多い越前地方(福井県)などへ出稼ぎする事もあったよう。
さらにはお正月には渡り鳥であるつぐみの麴漬けを食べたりと、東濃地方の暮らしにはこの渡り鳥を捕って食べるという行為が欠かせなかったのですね。
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うちの隣に住んでいるこのおじいさん、御年なんと90歳。おじいさんが山の上にある神社にお神酒を供えて、持ち帰ってきて、酒盛りになってしまった日のことです。百姓をしながら、かすみ網猟の猟師もしていた経験から、面白いことを話してくれました。
「渡り鳥はV字になって飛んでくるろ。
その先頭になっている鳥は、やはり他の鳥と格が違うんだわ。
というのは、体格もいいし、活きがあって、どことなく品があるんだな。
そしてなにより賢いじゃわ。網で捕るには、その賢い鳥を騙さねばならん。
逆に、先頭の鳥さえ騙せれば、後ろから着いてくるたくさんの鳥たちはいっぺんに着いてきて、網にかかる。」
私たちは、鳥の脳の小ささから、鳥は頭が悪く、渡り鳥は本能に従って北へ南へ飛んでいるだけ、と思いがちです。
しかし最近の研究では、鳥は感情を持ち、知性にしたがって飛ぶ方向を考えながら飛んでいる、ということが明らかになってきました。
やはり鳥でもリーダーたるもの、賢く強くあらねばならないのですね。
渡り鳥は片時も休まずに海を越え、地のある場所へ渡っても、山を越えてゆかねばなりません。
リーダーが弱かったり、判断を誤ったりすると一群が遭難してしまうのです。
このおじいさんはそんな最近の鳥類学の研究など知らないのですが、かすみ網猟の経験から、鳥の賢さを知ったのですね。
実は、この鳥屋の文化は、タンパク源としての猟という側面以外に、「人間の鳥への憧れ」から鳥を食べるようになった、という仮説を含んでいます。
空を自由に飛べる鳥を食べることで自らも尊い存在になろうとする、というのが「動物信仰」の学説です。
実際に昔の人が、そういった感情から鳥を食べていたかどうかはわかりません。
しかしこのおじいさんの話を聞いて、鳥と人間が互いに畏怖しあう、そんな関係がたしかに築かれていたと思わずにはいられません。
名前 ayami
フェイスブック https://www.facebook.com/farmroots/
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2012年に横浜から恵那市へUターンしてきたおへそ仲間です。 登山や自然に関することと、お絵かきがすきな20代後半女子です。 2014年に1児の母になりました♪ FarmRootsという農家2年目でもあります。