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おへそレポート

【郷土】山犬の話ー恵那山麓の民話vol.1

2018/04/13

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昔々、金八(きんぱっ)さという若者がいました。

ある時、金八さが峠を越えて、家に帰る途中の山道で日が暮れてしまいました。

この時分には、山には山犬がいました。この山犬は群れで動物も襲えば人間も襲う、恐ろしい生き物です。金八さが真っ暗な山道を、山犬が出たらどうしようと思いながら歩いていると、案の定後ろからついてくる足音がします。

 

ひゅんっ。

ひゅんっ。

 

山犬は背後から襲いかかるようでいて、決して金八さには触れないよう、すぐ後ろや頭の上を飛び交います。前後左右どこからも山犬が走る音がします。恐怖に震えながらも金八さはゆっくりゆっくり転ばないよう慎重に歩きました。

というのは、山犬には人間に直接攻撃してはならず、滑ったりつまづいたりして倒れた人間だけを食べてもいいという決まりがあるからです。

金八さはなんとか峠を越えたところにある広岡の集落にたどり着きました。そして近くの民家に助けを求め、家にあげてもらいました。

ほっとしたのも束の間、その家の周りから山犬が離れません。軒下に金八さの履き物があるので、そのうち出てくるとふんで見張っているのでした。

そこで、金八さは戸を開け、山犬に向かって、

「ここはよぉ、俺んとこやもんで待っとっても出ていかんに。お前ら帰れ帰れ」

と言い、履き物を家の中に入れました。それでやっと山犬はあきらめて、家の周りからいなくなり、金八さは家に帰れました。

 

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さて、この話は父が祖父(私にとっては曾祖父)から聞いた話で、金八さは祖父本人でありました。金八さの若い頃はニホンオオカミが絶滅したかしていないか、というような時代です。この山犬はニホンオオカミであったか、野犬であったか、はたまた「送り犬」や「送り狼」として日本各地に伝わる妖怪であったか…。

 

我が家はかつて専業農家で、父が子どもだった戦後間もない頃は、稲作・畑作・養蚕など家族総出で一年中忙しく働いていました。多忙な中でもわずかなくつろげる時間に、父は囲炉裏端で金八さから体験談や昔話をいくつも聞いたそうです。

残念ながら大半は忘れてしまったそうですが、いくつかは覚えていて、私に話してくれました。

その話は地形にまつわる昔話、過去の災害に関すること、教訓めいた話などでした。それはこの地域を知るにはちょうどいい話だと思いました。

父が忘れてしまったように、伝わらない話というのは多いのだろうと思います。少しでも恵那山麓の話を知ってもらえたらとも思い、私自身も家族以外からも話を集めつつ、記します。

しばしお付き合い下さい。

 

 


この記事を書いた人

megumi

名前   megumi

中津川市出身。滋賀・京都と関西をさまよったのち、帰郷。通勤経路でカモシカに会える、そんな恵那・中津が好き。

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